銀座泰三

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help リーダーに追加 RSS 継承の難しさ

<<   作成日時 : 2008/06/12 00:28   >>

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先日以前からお誘いを受けていたので、国立劇場に若柳吉蔵の踊りの会を見に行ってきました。
これは若柳流宗家の個人的なリサイタルで、今回は常磐津の関之扉を歌舞伎仕立てで、長唄の勧進帳を素踊りで踊るというものです。
若柳吉蔵はまだ40歳にも行かないし、勧進帳では、尾上流の家元の長男尾上青楓が富樫、中村翫雀の長男中村壱太郎も義経で出ており、若々しい清新な舞台でした。
汗だくで熱演している姿は、次代の舞踊会を背負って立つ身として、精進して名人になってもらいたいものです。
まだ若いのでどうしても荒さというか硬さが目に付きますが、年輪を重ねることで円熟しきっと親を越えていってくれるだろうと思います。

ところでこの若柳流というのは、現在舞踊界の五大流派の一つで、江戸時代に花柳流から別れた初代若柳寿童を祖とするものです。
ちなみに五大流派とは、花柳、藤間、若柳、西川、坂東を言います。これに猿若を入れて六大流派ということも有ります。

こうした芸事の継承というのは、なかなか難しい問題を抱えています。

たとえば、茶道の三千家などはその家元制度は江戸時代に確立され、家元は千利休の血を引き継ぐために、男が要れば長男が必ず継ぎ、無い場合は養子をとってでもその道を守ってきました。時には三千家同士で養子を出し合っています。
このような継承は、その血統を守ろうというものであって、技量云々は二の次です。
千家の家元制度というのは表千家7代目如心斎の頃に確立したといいますが、家元を一種の権威として崇め奉ることでピラミッド型の組織を作り、その存在基盤を強固なものとしました。

歌舞伎の世界なども血と言うものをとても大事にしていますので、そういう家に生まれないものは例え技量があっても、大芝居では立ち役は出来ません。
ただ芸養子という手が有って、名跡を名乗れることがあります。

このように血統ということを継承の基本においている場合、家元制度を確立しておけば、継承者の技量に関わらず、その組織のなかで生活するものも安堵できます。ですから邦楽の世界でも家元制度を作りたがります。

家元の継承は基本的には血と言うものを大事にして続いていますが、代々の仕事を続けていくのはなかなかに難しく、後継者の技量が特に問われるような世界では、必ずしも先代の息子などが一番と言うわけでもありません。
また子供がいなかったときなどにどうするかということなどで、内輪揉めが良くおきます。

日本舞踊は特にそういう問題が顕著で、この若柳流だけでも多くの派が有って、一体どこが本来の本家か分かりませんし、花柳流も後継者のことで訴訟問題が起きています。

実は日本舞踊には現在200流派ほどあって、それがほとんど家元制度を採っているのです。

芸事では技量のあるものがトップに立つのが当たり前という考えがあるのでしょうが、血を採るか、技量を取るか、なかなかに難しい問題です。

ある有名な邦楽の一つもはっきり言って現家元の技量が低く、家元制度に逆に甘えて、勉強不足のため、役者からも評判が悪く、歌舞伎で舞台が少なく、若手が食えないなど問題になっています。これは血を大事にしたがためにこういうことになったのと、継いだ人間の自覚が低く、ゴルフと女に現を抜かす体たらくです。
当然のことですが弟子も減り続けています。

また違う邦楽は、もともとの創始者の家系が絶えましたが、その後家元というものを置かず、芸の預かりというような形を取っています。

要するに組織を継承するためには何が最も必要なのかということで、これはすべての企業にも当てはまることです。

特にオーナー会社の場合に良くお家騒動が起きます。

誰に継承させるかを決めるのが経営者にとって一番難しい仕事の一つですが、これを怠ったときその組織は崩壊する恐れがあります。
私欲を離れて、周りの幸せのためには誰を継がせるか冷静に考えるべきです。

ただ零細企業の場合、次の経営者となれる器量が無いものも多く、後継を決められないままに廃業に向うというケースが多いように思います。

きもの業界も超構造不況のために、ほとんどの子は継がず、どうして次世代に渡すかは超難問となりつつありますし、そうしないで廃業していくところが、本当に顕著に増えています。

丹後もドンドン生産が落ちていますし、廃業が増え、また生産が落ちるという傾向です。手描き友禅や西陣織の職人さも後継者が無く高齢化し、仕事も少ないので次々辞めています。
結局いつもこういう話になってしまいますが、本当に頭が痛いのです。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
お話よくわかりました。表具の世界も後継者難です。ある組合で集まると、あんたとこの息子は後つぐの・・・と聞かれて、つがないよといったら、みなでよかったねーと言ったそうです。
京ウサギ
2008/06/15 14:25
継がなかったら良かったねと言われるのは、きもの業界でも同じです。
今のままなら誰も継ごうとしないでしょうし、継がせても苦労するだけでしょうか。この時代に継がせるのら、きちんとした指針を親が示すべきです。安易な継承はかえって不幸な目を見ることがあります。
私もそのことでひどい目に会いました。
銀座鯛三
2008/06/15 15:11
そうですね・・・後継の問題は難しいです。
私も他人から『呉服屋の長男にうまれるとは因果なもんだなぁ』『呉服屋なんかに誰が大事な娘をやるもんか』『K大学でて、なんで呉服屋なんか
やってんの?』とか、あらゆる侮辱を受けてきました。
 私の場合、安易に後を継いだのですが(笑)、まぁ、これも神さんのお導きやろ、と思ってあきらめています(笑)私と私の仕事に存在意義があれば、なんとか生き残れるやろ、と気楽に構えています。でも、これから継ぐ人となると本当に深刻です。よほどの覚悟と信念が無い限り、後で後悔することになるし、変な心がけで入ってこられても、はた迷惑です。
才能があって、それなりに頑張れば、世間並みの生活がしていける、そんな業界作りを急がねばならない、と強烈な危機感を持っています。
もずや
2008/06/16 20:22
もずや様

正に同感ですね。
ただ我々団塊の世代は、若い頃は京都では和装関連はとても好調で良い仕事の一つでした。継ぐに当たっての迷いはありませんでしたが。貴兄の世代ではもう大分減っているでしょう。

この先はほとんどないというのが本当のところでしょうし、果たしてどうなることでしょうか。
銀座泰三
2008/06/16 23:17

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