銀座泰三

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help リーダーに追加 RSS いよいよ止まらない和装産業からの撤退

<<   作成日時 : 2008/07/02 15:15   >>

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このところの諸物価高騰は異常な事態で、不要不急の消費は急速に減退している中、
以前から和装慣例産業からの撤退、つまり廃業のことを書いておりましたが、予想通りこのところ堰を切ったように各段階、職種での廃業が続いているようです。

先日も西陣の話を書きましたが、総じて全国の織物産地が今大変な苦境にあるようで、特殊な時間のかかる織物を除いては、急速な消費減を受けて、生産過剰となり、産地に在庫が積み上げっています。

毎月のように赤字経営を余儀なくされ、肝心要の問屋にも面倒を見る余裕もなく、生産者側での廃業に歯止めがかかりません。
廃業しているところに共通しているのは、一つは経営者が高齢で、後継者が無く、体調も有るし、自己資金の投入にも限界があり、まあいわば自然の廃業、もう一つは後を引き継いだ若い経営者が、将来に展望がないということで見切りを付けたと言うところです。
ただ言えることは両者ともに、他に食える道が有るから、例えばマンションや駐車場経営をしているとか、いわば資産があるということでしょうか。
今までそちらのあがりを本業のほうにつぎ込んでいたのが、本業のほうに回復の望みがまったく無いということで、転業すると言う形です。実は染物のほうはすでに10年以上も前に、特に型染めの工場などは社名は何々染工場とは言っても、その実アパート経営などに転業しているのです。
西陣などはその動きが遅れて今本格的になってきたということで、当然といえば当然です。

最近西陣でも私でも知っている名のある織り屋でも廃業すると言うことで、ちょっと驚いていますが、それだけ今西陣は苦境にあるのです。

廃業するときに問題なのは、その在庫がどんな形で前に流れるかと言うことですが、いわば投売りになることが多く、これがまた市場を乱すことになってしまいます。

沖縄の産地などでも、この数年いわばブームで増産していたところが、急速に消費が落ち始め、背に腹は変えられないという事で、安値で前へ流すところが出始めているようです。

各織物生産地の生産統計を見ても、すべて大幅な落ち込みで、一時の紬ブームは過ぎ去ったということでしょうか。
ただその背景にはNCの過量販売に端を発したローン規制ということも原因があることは確かで、量販店の急激な退潮が、量の販売を必要とする織物に大きなマイナス要因となっていることも有ると思われます。

来年から始まるであろうカードの分割払いの規制はその販売減に拍車をかけるだろうといわれていますし、そうしたことを考えると廃業もやむをえないのでしょう。

業者の廃業はその下にいる職人さんへの仕事がなくなり、また産地全体が分業で成り立っているだけに、各段階での仕事が益々減るわけで、今従事している人の仕事も確保できないのでは、西陣、京友禅の後継者は今後育てることは不可能でしょう。
このままでは何度も言いますが、長い生産の歴史、つまりは日本固有文化である京友禅や西陣織りのこだわりのもの作りはかなり近い将来に終焉を迎えるということが確実な情勢となってきました。

こういう話は大きな消費地にいると気が付かないことで、産地の苦境は前に伝わっておりません。
それがまた産地の苛立ちにもなっております。
中間在庫、つまりは売れ残り品がうろうろしている間は、新規生産品が、素直に前へ流れませんから、産地として直接消費地に打って出るところも最近多く見られます。

この苦境を契機に流通は大きく変わり、淘汰が予想以上のスピードで進むと思われます。

本物志向の供給が急激に細るのですから、嘘偽りなく、良いものをお求めになりたい方は、今すぐとは言いませんが、この5年ほどの間にお手当てなさることを損得抜きでお薦めするものです。

すでに、あれがないこれが無いという情況で、この間も女物の額裏(一枚ものの羽裏)を探しても無いということがありました。作ることは出来てもロットの問題があって難しいのです。

廃業が続いた後に来る事態は、一番恐れる連続の倒産です。そうあってほしくありませんが、最近の銀行の融資態度を聞いていると確実な情勢でしょう。

このところくらい話ばかりで恐縮ですが、京都に帰るたびにその深刻度が増しているという現実は是非お伝えしたいと思い書いております。

とりあえずは無茶をせず、生き残るための道を模索するということでしょう。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
沖縄の場合、全てが個人なので、廃業の話は聞かれませんが、
毎日のように、産地の苦しい声は私の耳に入ってきます。
しかし、そういう中でも、淡々と楽しそうに機音を立てている作家も
数多くいて、彼女たちのバイタリティーには圧倒されます。
沖縄の場合は、そのほとんどが趣味の派生であることが、何よりの救いです。物作りの中心が女性でそのご主人はきちんとした定職をもたれている場合が多いのです。問題は、そうではない、とくに離島や出機を多くかかえて工場経営をしている南風原の産地です。これは、ほんとうにキツイです。ここは、一番、沖縄女性の強さにかけてみようと思っています。
そして、今こそ、私の出番。今までの恩返しをこれからしたいと思っています。
もずや
2008/07/02 17:33
もずや様

おっしゃるとおり、楽しんで趣味のように物作りをされているものは変わらず残っていくでしょう。京友禅や西陣織はそうは行かないので大変なのです。
大変ですががんばってください。
銀座泰三
2008/07/02 21:37
加賀友禅も厳しいく、他の仕事に変えていく作家さんもいます。問屋によっては安く作るようにと注文を取るとこもまだあり、生き伸びるのにはしかたがないのかしれないけど、そこは、もう少し考えていいものを作らないと余計に在庫が残り着物業界をだめにします。今、お客さんは安い着物じゃなくいい着物を探している人が多くなってきています。昔からの着物はすでに持っているので今までにないような感じの着物はないのと聞かれます。問屋さんも生地を出し渋るのでなくお互いに勉強し直し、いい物作りをしなければこの業界は終わりだとおもいます。昔の問屋さんはすごく勉強していましたし、作家さんを育てるというほどでした。それがいつのまにか売り上げだけに走り、どんどん作らせた結果がこうなったと思います。ですからもう一度いい物作りを考えていかないといけないと思います。
金沢のとし
2008/07/03 15:53
加賀友禅産地の厳しさも良く存じ上げております。私は京友禅と加賀友禅は将来協力関係を結ぶべきだ思っております。
本当に昔は問屋にものを知る人がいて、作り手を指導してきましたし、専門店にも物の良し悪しの分かる人がたくさんいましたが、今は本当に少ないですね。これは委託商いに原因が有ると思います。いわば命をかけて物を買うということをしないで人の褌で相撲を取ることになれきってしまって、仕事に対する真剣みが薄れているとしか言いようがありません。
値付けもいい加減で、そのことで益々消費者心理と乖離しています。今廃業が増えていますが、不真面目な人はどの段階でも早く辞めてほしいのです。この仕事に命をかけるくらいの人だけが残ってほしいので、その邪魔になるような輩は辞めてほしいというのが本音です。
銀座泰三
2008/07/03 20:40

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